舞台「戦刻ナイトブラッド」(通称:ブラステ)は腹筋はしぬけどリアコはしなない※当社比

皆様はいま何かと話題の舞台「戦刻ナイトブラッド」をご存知だろうか。現在、銀河劇場にて上演中の2.5舞台である。この舞台、前評判では運営のチケットの売り方の杜撰さ、ヒロインの後出し等で批判を受けていた。しかし初日以降、なんだろうかこのTwitterのタイムラインに現れる感想たちは。好意的な意見・否定的な意見様々であるが、ここまで観劇後に皆が何かしら感想を語りたいと思う作品はなかなかないであろう。それも、難しい考察ではなく自分のありのままの感想を。そういったありのままの感想がまた、観ていない人を惹き付け、劇場へ足を向けさせる原動力になっているというのがまた凄いことである。私もブラステの感想を見るのが大好きになってしまった一人である。今回はブラステを好意的に観劇した私の感想等を書き連ねていきたいと思う。お時間があれば読んでほしいし、観劇済みなら貴方の感想を是非ともききたい。また、これを読んで興味が湧いたら当日券チャレンジや譲渡チケットを探して是非観劇してほしい。※一応断言するが私は余ったチケットを売りたい運営の回し者でもなんでもない、ただのいちオタクである。



まず始めに、私がブラステを観劇した経緯であるが、これについては普段の推し活や身バレがかかっている為に割愛させていただく。ただ、先行でプレミアム席を何枚かとっており、それでも別作品舞台との被りのために数枚をお譲りに出した。よって、一昨日の土曜はブラステをマチソワ、昨日の日曜は別作品の現場にはいっていた。今日は月曜でちょうどブラステは休演日なのでいま一度ブラステを振り返る作業をしようと筆をとった次第である。



そもそも「戦刻ナイトブラッド」とはどのようなコンテンツなのかというと、マーベラスKADOKAWA・アイデアファクトリーの合同企画女性向け乙女コンテンツである。3社の名前を見て気づいたオタクも多いと思うが、舞台・映像・書籍・ゲームに幅広くメディアミックスしていく気満々なのがわかる。この中で私はアプリゲームとアニメ、そして今回の舞台に触れている。私は未読だがおそらく漫画化もしていたと思う。そして、このコンテンツのスタートはアプリゲームなのである。とにかく、起用声優がオトメイトの乙女ゲー人気作にばんばん出ている人気声優ばかりでとても豪華である。また、舞台化を見据えたことがありありと伝わってくる、マーベラス制作舞台常連の俳優たちを声優に起用しているのも特徴である。今回舞台に出演している山本一慶さん、荒牧慶彦さん、今回の舞台では声の出演をしている佐々木喜英さん、それと今回は登場しないが北村諒さん…といった具合である。そこまで気合いが入ったコンテンツであるのに、運営側の宣伝や展開の仕方が悪いのかいまいち盛り上がりに欠けるコンテンツである。これがざっとした概要だ。



ここで戦ブラの世界観にふれておきたい。舞台では説明が省略されたことも補足していくことにする。
まず、話としては有りがちな異世界トリップものである。ヒロイン(デフォルト名:結月)は神牙と呼ばれる異世界にトリップする。神牙は日本の戦国時代のように有力な武将が軍をつくり各々の領土を治め、天下統一を目指している。そして力の強い武将はただの人間ではなく"月牙族"という種族である。月牙族にも種類があり、舞台の劇中でも語られているとおり吸血鬼・人狼・鬼がいる。織田軍と豊臣軍は吸血鬼、上杉軍と今回の舞台には登場しない武田軍・真田軍・伊達軍は人狼、ゲームで新規追加になった毛利軍が鬼である。だから今回の舞台では上杉軍のキャスト3人だけがけもみみしっぽのもふもふなのである。3人ともわりと似合っていて可愛い。
話が逸れてしまったが、月牙族とは普通の人間よりも圧倒的に戦闘能力が高い。そして、その世界のはるか昔かは私の記憶が曖昧なのだが、特別な力を持った"姫巫女"が神牙の泰平を築くために己の血を分け与えたことにより、普通の人間よりも強い力を持った一族の末裔が月牙族なのである。ヒロインがトリップした時代より以前には将軍的な存在もいたようだが将軍の統治が崩壊し、現在の天下統一を争うような世の中になったらしい。ヒロインの血には姫巫女と同じ力が宿っていて、月牙族がその血を飲むと眠っていた本来の力が呼び覚まされる、といった具合だ。ちなみにゲームだと血を飲んで覚醒すると髪の毛の色が変わったり伸びたり、見た目も変化する。個人的には信長様の金髪が好きだ。



話を戻そう。ヒロインが神牙に現れたと同時に、姫巫女が行方不明になってしまい、姫巫女に仕えていたイマリ(舞台ではたぬきのぬいぐるみ)は姫巫女の行方の手掛かりを探す為にヒロインの元にやってくる。そして、ヒロインは元の世界に戻る手掛かりを得るために姫巫女を探すことをイマリと約束する。しかし、姫巫女の存在自体が神牙では伝承やお伽噺的な存在のようであり、武将たちも姫巫女については大した情報を持っていなかった。そのため、古い文献を調べたり領土内外で手掛かりを散策したりと、ゲームのストーリー上ではわりときちんと姫巫女を探している。
そして、神牙では時を同じくして厄魔と呼ばれる化物が出現し、人間を襲うようになる。厄魔はある日突然現れ、どこから生まれてくるかも不明という中、武将たちは厄魔を討伐し、天下統一するためにヒロイン(の血)を奪いあう…という感じであろうか。うろ覚えな部分もあるので詳しくはゲームをプレイしてストーリーを読んでほしい。


今回の舞台化の脚本はそこまで悪くはない、より率直な言葉にすると乙女ゲー原作ならこんなものだろう、といった感想である。ゲーム等で複数ルートがある場合の作品をアニメ化・舞台化する際、各キャラクターの登場割合を均等化する意味でもヒロインが色んなところをたらい回しにされるというのはもはや定番である。今回のブラステでは赤澤さんが座長であることからもわかる通り、あえていうなら秀吉寄りのストーリーになっている。ちなみにアニメも秀吉メインのストーリーだった。


ここからやっとブラステを観劇した話をしよう。たどり着くまで長かった。

前述した通り、先行で複数枚チケットを所持していた私であるが、後出しでヒロイン出演発表やイベント開催等、ブラステ運営に対して信用できない気持ちだった。それに則して舞台自体への期待度も低くなっていた。
初日後、感想を見掛けるとなんと、面白かったという意見があった(ここでいう面白いがどういう意味だったのかはわからない)。そして、私個人の目を惹いたのは「荒牧さんのリアコがしぬ」という情報である。頭に???が浮かんだ。私は当然この時点では秀吉寄りのストーリーが展開されると考えていたから、赤澤さんのおたくがダメージを受けるならわかる。しかしなぜ荒牧さんなんだ、と。さらにさらに、なんと荒牧さんがラッキースケベをするシーンがあるというではないか!!!この情報だけで私のテンションは10倍上がり、観劇するのが楽しみで楽しみで仕方なくなった。補足しておくと、いまをときめく2.5舞台の王子様・荒牧慶彦ラッキースケベさせる、その演出の豪気さに感動したのである。そして、ただ単純に荒牧さんと女性キャストの絡みが物珍しいから観たいと思った。とにかく、私のブラステへのモチベーションは保たれたのである。


結論から述べよう。荒牧さんのリアコはしなない。正直、拍子抜けしてしまう程度の絡みだった。なんなら、事務所NGで演出変更されたのかと思った。マチネで見逃してしまったのかと思い、ソワレではしっかり某シーンを双眼鏡で眺めてもみたが変わらない。荒牧さんのリアコの皆様、安心して観にいってください。これなら初恋モンスターやKのほうが女性との密着度は圧倒的に高く、絡みも多い。さらにいうと、荒牧さんのチェキ対応は他担でもご存知の通り、ブラステのヒロインよりもおたくとの密着度のほうが断然高い。ね、貴方のほうが荒牧さんと距離近いよ大丈夫リアコちゃん心を強くもってね。
ただ、これは個人の感じ方なので無理な人は無理しなくてもいいとも思う。しかしこのレベルで無理なおたくが多いとなると、彼のこの先のお仕事の幅とか色んなことに一抹の不安を覚えてしまうというのも私の正直な気持ちである。



話を戻そう。荒牧さんのラッキースケベを期待していったのにとんだ期待外れだった。しかし、それは些末なことだと思える状況が次々と私に降りかかってきた。




腹筋がしんだ。二時間程度、こんなにも笑いをこらえ続けた観劇は初めてだった。脚本よりは圧倒的に演出の問題だと思う。キャストの半数程度は経験値があり、そこそこ歌え、踊れ、殺陣もできる(滑舌等気になる役者も一部いるが)。だからこそのミスマッチである。あと、衣装の再現度が高いのもポイントが高い。アニメのような作画崩壊の心配もない。だが、なぜかそこはかとなく面白い。そして私が一番面白くて堪らないのは、謙信役の前山さんのソロ曲のバックダンサーをしている兼続役の陣内さんである。もう面白くて仕方がない。前山さんの歌は大好きなので聴きたいし観たいが目を開けるとどうしてもバックダンサー兼続の姿が目にはいってしまうので、兼続がはけるまで目を瞑ることにした。けっして寝ているわけではない。
この他にも唐突に歌い出す(上手い)、終わらない追いかけっこ、全力の日替わり、手との戦闘等々、最早全編が見所である。確実にリアコではなく腹筋がしぬ。



色々書いたが、個人的には陣内さんと定本さんのキャラクターの落とし込み方がとても素晴らしいと思った。




最後に、ここまで読んでくださった方の中で未観劇の方は是非、平成最後の夏の思い出に銀河劇場へ足を運んでみてはいかがだろうか。百聞は一見にしかず、である。